真夏の水道管事件

ママはいつものように早朝の仕込みでまな板に向かっていました。すると後方からかすかに水のしたたり音を感じたのです。「んん?」振り返るとそこには夏には欠かせない製氷機が座っています。

「まさか!」

そう。この時期には製氷機は欠かせません。

水のしたたりは、まるで何かを訴えるような声に聞こえたそうです。製氷機を開いてみましたが氷は健在です。今のところ。

そう。扉が閉まっている限りしばらくは温存された低温状態で氷は健在です。いやいやいやいや、製氷機より水回りのほうが怖いし…はたまたここにつながる水道管に穴?!。

恐る恐る裏をのぞくと案の定、水が溜まっている!いますぐ水道管の元栓をしめなくてはお店が水びたし!?今日は営業できる?! つ〜か、これ。一日?いや暫く休業して大工事?いったん落ち着こう・・・とにかく仕込みは中断して冷蔵庫へ。

整備をやってくれるみっちゃんに連絡して水道管のしめ方を聞かなきゃ!みっちゃん助けて!あらゆる可能性を考えてとりあえずみっちゃんの指示通り全部の水道管をしめました。

水のしたたり音は止まったわけではないけれど、確かに勢いは緩み、やがておさまりました。

「はあ~ぁぁ。。。工事か。休業か。費用はどれくらい。。。」

途方に暮れて、冷や汗かいたし、さっき作った麦茶でも。なけなしの氷を入れて飲んで一息入れよう。と、麦茶をつごうとしたその瞬間、すべては解決してしまいました。

麦茶のポットがなんと空っぽに。ママは疲れ切った体を何とか支えるようにテーブルに片手を置いて、妙に冷静に麦茶のポットをゆっくりさかさまにして底を見ると、5cm×5cmのバッテンにヒビが入っていたのです。

そう。どうやらここから麦茶がポトポトと滴り落ちる音だったのです。

みっちゃん、おさがわせしました。ごめんなさい。

まさかの事故は無いと信じ、いや念頭にも置かずに、目の前の仕事に追われる毎日。安定した時間のなかで心に余裕があるときには冷静に気づく事柄でも。緊張感の中で突発的な事が起きたり普段感じない違和感で、人は最悪のことを想像してしまうものだとつくづく感じた事件でした。

ヨカタヨカタ♡

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